[馬の耳に風]

MAKING APPEND NOTE
介護 への返事
 日本などは早くから独逸流の仕方を採用した結果、主に新劇について云へば、舞台装置とか、舞台監督とか、照明などつまり、趣向といふ方面では相当に新らしい充実したものを見ることが出来るけれども、それに比較して俳優の個人々々の芸が少しも進歩してゐない。近頃日本の新劇が行き詰まつて来たといふ声を聞くのは、要するに俳優自身の教育がおくれて、芝居が下手だといふことによるのだと私は思ふ。いゝ脚本といふ点では、まだ/\外国の優れた作品などでも上演されないものが大分あるし、芝居は割合に平凡な作品でも俳優が上手であれば、ずゐぶん面白く見られることがあるので、脚本の開拓方面ならば相当に豊富であると云へる。
 とは云へ勿論、厳密な意味で俳優教育といふものが出来るかどうかは疑問で、要するに実際的の指導を与へることによつて、俳優自身のもつさま/″\の才能を見出し、引出すことである。さういふのも、今後次第に新劇俳優の地位が高められて、将来どの方面に行つても相当にやつてゆかれるやうな教養や才能のある人物が俳優になれば、現在の新劇の行詰りは自然に打開されるものである。

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