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これを要するに

  これを要するに 飛蚊症 おすすめ 2014/06/12 14:57:22 
これを要するに [返事を書く]
 これを要するに声聞(師)とはもと下賤の僧の義に用いられたもので、在来の俗法師や、社会の落伍者のこれに投じたもの等の総称とみるべく、したがってその職業も一定せず、陰陽・卜筮・遊芸・雑職に従事するものはもちろん、社寺荘官村里に付属しては、雑役に服し、警察監獄事務をも勤めたものであった。それが後には各その職とするところによって別の名をもって呼ばれ、声聞という総括的の名は、多くの場合において失われたものと思われる。その職業としたところからいえば、後の鉢叩・鉦打・ヒジリ・陰陽師・博士の徒、簓・説経・祭文・市子・梓巫の輩、あるいは田楽(猿楽)・万歳・春駒・夷舁、大黒舞・傀儡師などの諸芸人、あるいは山陰道筋に多い鉢屋(大和などにも警吏の一種にこの名があった)、山陽道筋に多い茶筅、近畿地方の夙の類、あるいはいわゆるエタ仲間のある者の如き、また往々この流れを汲んだものであったと察せられる。もっとも夙・茶筅・鉢屋・傀儡師の徒は、古えの土師部・浮浪民等の亜流に出でたものも多く、同じくらいの社会的地位を有し、似た職業に従事したものが互いに混淆して、名称を融通し合ったものの多かったのは言うまでもない。本編は便宜上主として特殊民の三大要素中、俗法師の方面から観察したのであるが、唱門師(声聞師)の研究をまっとうせんには、さらに他の二大要素たる、土師部・浮浪民の方面からの観察をも怠ってはならぬ。いずれこれらのことについては、他日稿を改めて別に論じたい。
(付言)なお唱門の名義が、アイヌ語のシャモまたは沙門と関係があるのではなかろうか、満洲・蒙古・北部アジア等のシャマニズムのサモンと関係ある語ではなかろうかとも思われるが、確かでない。
(『民族と歴史』第三巻第六号〈俗法師考の二〉=一九二〇年六月)
飛蚊症 おすすめ 2014/06/12 14:57:22

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